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2016年6月7日火曜日

ババドック ~暗闇の魔物~ 《原題:THE BABADOOK》 (ネタバレなし、あり)


私の映画感想を読む前にこちら一読お願いいたします。


ババドック~暗闇の魔物~ (原題:THE BABADOOK)



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作品情報

監督:ジェニファー・ケント

製作:2014年

時間:94分

国:オーストラリア




《あらすじ(ネタバレなし)》

シングルマザーのアメリアと一人息子のサミュエル。
サミュエルは周りの子とはなかなか馴染めない。そしてママ大好き。
そんなサミュエルのお世話に追われる毎日に疲労困憊のアメリア。
ある日、サミュエルは寝る前の読み聞かせに「ババドック」というタイトルの見たことも無い本を読んでほしいとアメリアに渡す。
不気味なその絵本を読んでからサミュエルは「ババドックがいる」と騒ぎ始め、今までの行動がエスカレート。
今まで以上に手を焼かすサミュエルにうんざりし、相手にしていなかったアメリアだったが、次第にアメリアの周りでも不思議な現象が起こっていくようになる。






《感想(ネタバレなし)》

私は好きな作品。
スプラッタとかそういうのではなく、なんだか不気味、なんだか気持ち悪い。そういう感じの作品。
個人的にアメリカとかのホラーよりは日本のホラーの雰囲気かなというのが個人的な感想。(話の内容的には別。あくまで雰囲気の話。)
ガタガタ物を揺らしてわざとそこにいる人たちを怖がらせるというよりは、
何かおかしい、何か変だと思っている間に巻き込まれていく背筋がゾクゾクする感じ。
ジャンル的にもなかなか難しいとこにいるんじゃないかと思う。実は。
あ、あと主演のふたりアメリアさん(エシー・デイヴィス)、サミュエルくん(ノア・ワイズマン)がすごく演技が上手。すごい。




ネタバレありは追記


















《あらすじ(ネタバレあり)》

シングルマザーのアメリアと一人息子のサミュエル。
サミュエルは周りの子とはなかなか馴染めないタイプの子。思ったことはすぐ口に出し、自作の武器を持ち歩き、夜は「部屋に怪物が隠れている」とクローゼットの中やベッドの下をアメリアと確認しないと眠れない。

サミュエルが学校に自作の武器を持ちこんで退学になった日の夜、寝る前の読み聞かせに「ババドック」という見たことも無い絵本をサミュエルがアメリアに渡す。
それは薄気味悪い感じの飛び出す絵本。



「ミスター・ババドック」


名前と姿を知った者は  ババドックから逃げられない
真実を見抜ける賢い者なら
この特別な存在と友達になれるかもしれない

彼の名はババドック  
これは彼の本
おかしな物音とノック3回 
バ・バ・バ ドックドックドック  
それが彼の来た合図

彼が見えるはず 
黒い帽子に黒いコートのゆかいな姿
夜 彼を見たら…
一睡もできない
ゆかいな顔は仮の姿
本当の姿を知ったら…
欲してやまなくなる

死を



この絵本を読んで以降、サミュエルは「ババドックがいる」と怯えるようになり、アメリアの周りでも不思議な現象が起こり始める。
スープにガラスの破片が入れられたり、アメリアと夫の写真に落書きされていたりなど。
そして、それらの現象も全てサミュエルは「ババドックの仕業だ!」と言います。
アメリアは絵本をビリビリに破いて捨てることにしました。


アメリアの妹の娘、ルビーの誕生会に行ったサミュエルはルビーから「パパとママから嫌われた要らない子」と言われ、ルビーを突き飛ばし大怪我させてしまいます。
唯一頼れる相手だった妹からも絶縁状態とされてしまい、アメリアがサミュエルを叱ると、サミュエルは痙攣を起こして病院に運ばれまてしまいました。
心身ともに疲れ果てたアメリアは医師に頼み込んでサミュエルに鎮静剤を処方してもらいます。

久しぶりによく眠れたことで気分爽快なアメリアでしたが、玄関の前に捨てたはずのババドックの絵本が置いてあったことにより気分が下がってしまいます。
さらに、不気味に思いながらも本を開いてみると、前回はなかったはずのページが加わっていました。



お前にいいことを教えてやろう

否定すればするほど私は強大になる

『中に入れて!』

私が中に入ったら

お前の中で私は成長する

さあ 見るのだ

お前が一体どうなるか



そこには女性がババドックに憑りつかれ、愛犬を殺し、息子の首を絞め、包丁で自分の喉を切る様子が描かれていました。アメリアは気味悪がり、本を焼き捨てました。
アメリアはまたも眠れなくなります。
壁からゴキブリが出てきて、壁紙をはがしてみると大量のゴキブリが出てきたり。
そのため大掃除をしていると役所の人がやってきてサミュエルへの虐待を疑われたり。
息子と車に乗っているとババドックの合図が聞こえてきたり。

助けの手を差し伸べてくる人たちもすべてが鬱陶しく思えます。


そしてある晩、アメリアにババドックが襲ってきて、ついにアメリアの口のなかへ入り込んでしまいます。
アメリアは翌日の仕事を欠勤し眠ろうとします。そこにサミュエルが「お腹が空いた」とやってくるのですが罵って部屋から追い出します。
アメリアの様子に怯えたサミュエルは普段からお世話になっている隣人に電話しますが、アメリアが包丁で電話線を切ります。そして様子のおかしいアメリアに対し激しく吠える愛犬の首を捻り殺し、サミュエルをも殺そうと近づきます。

サミュエルは包丁をアメリアの太腿に突き立て、アメリアを罠にはめ縛りつけます。
しかし、どうすることも出来ないサミュエルは「ママの中からババドックを追い出して!」と叫ぶだけ。
そうしている間にロープを解いたアメリアはサミュエルの首を絞めるが、サミュエルがアメリアの頬を撫でるとアメリアの口から黒い液体が流れ出し、アメリアは正気を取り戻します。
すると、アメリアの目の前で夫が死んだ瞬間が再現され、ババドックが襲ってきます。
アメリアはサミュエルを守りながらババドックに立ち向かい「今度息子に手を出したら殺してやる!」と叫びます。
アメリアに負けたババドックは地下室へと逃げ込みます。


後日、アメリアとサミュエルは庭で大量のミミズを集めています。
サミュエルが「ぼくも見られる?」と聞くと、アメリアは「大きくなったらね」と答えます。
アメリアはその大量のミミズを地下室に持って行き、ババドックにエサとして与えます。
ババドックは苦しそうなうめき声をあげながら大量のミミズの入ったバケツを暗闇に吸い込みました。





《感想(ネタバレあり)》

個人的にはとても好き。
しかしまぁ、アメリアさん幸せになってほしい。
サミュエルの「ママー!!!」って叫びは誰だってアメリアさんみたいになってしまうと思うものがあると思う。
サミュエルは愛する人との愛の結晶だからこそ誰よりも愛しているのに、サミュエルがいなければ夫を失いこともなかったはず。
母としての愛と女としての愛が複雑に絡まって、それを見つめなおす時間すら作れずどんどん病んでいく。
そこに現れたババドック。絵本があったことに以外の現象はアメリアさんが心を病んで見た幻覚なんだろうなぁと思う。ババドックを見たり、声を聞いたり、ゴキブリとかの不可思議な現象を見たのはアメリアさんだけだし。

ババドックの正体はアメリアの『憎しみ』なのかな。
自身が少しでもその『憎しみ』の感情怯えてしまうと(=誰かを憎んでいることを意識してしまうと)、その『憎しみ』はアメリアさんを内側から殺してくる。
しかし『憎しみ』という感情は決してなくなることはないから、落ち着いてきちんと向き合って、管理していくしかない。最後のババドックにエサをやってるところはそういった意味があるのかなと思いました。(サミュエルに「大きくなったら見えるようになる」と話したのはサミュエルはまだ子供で、そういった感情がないからなのかな。)

誰にでもありうる話なんだと思う。
自分の感情に気がついてあげられないこと。
気がついてるけど色んな理由が重なってどうにもしてあげられないこと。

アメリアさんだってそうだ。
本当によく頑張ってるし、彼女はなにも悪くない。もちろんサミュエルも。
ただ、タイミングとか運とかそういうものがすべて悪いところで重なってしまった。
それだけ。

この映画で本当に怖いのはお化けでもなんでもなくて、『弱ったときに誰にも頼れずに限界がきて、内側から壊れていってしまうこと』だと思う。
アメリアを心配している人はたくさんいたのに頼れなかった。自分の感情を押さえ込んでいたから。
最近の日本には多いんじゃないかな。
自分の感情を一番理解してあげられるのは自分だからね。
自分が自分の感情を無視したらダメだよ。ババドックが来て内側から壊してしまうよ。


この映画はストーリーもすごいけど、主演のふたりアメリアさん(エシー・デイヴィス)の演技がすごい。
どんどん疲れてふけていってる感じがするし、ババドックに立ち向かうときの雄雄しさといったら。
ホラーものによくある『女の人の怖がり方』ではなくて『人間が壊れていく様』や『母親としての強さ』を本当によく表現しているなぁと思う。
サミュエルくん(ノア・ワイズマン)もすごい。視聴者ですらサミュエルくんを見ていると疲れるし毎日一緒にいたらアメリアさんみたいになるだろうなって考えてしまうほど、うるさくて依存的。車のなかで痙攣したところなんて本気で怖かったよ…

それとババドックの絵本も好き。気持ち悪い。わかりやすく読みやすく薄気味悪く気持ち悪い。
すごくいいホラー絵本でした。

お化けの話ではない感じがするので、ホラー好きさんの中でも好みが別れるかと思いますが少しでも興味があるなら見て損はないと思います。


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